アキトの履歴書 63

2016.12.30

 
(片思い)
 
 町青年会長として、自分なりに持てるエネルギーを精一杯発揮して、祭りに、青年会活動にと、
 
リーダーシップを駆使してやり遂げたという達成感に浸っていた。我ながら良く出来た。
 
中でも一番の感激は、神男を無事に務め一生に一度の男の花道を経験出来たことだ。
 
 秋になり、ふと、これからどうしようかと考えた。仕事では新たな仕事が増々入り、忙しい毎日を送っていた。
 
2輪車向けブレーキシューは、相変わらず増産に次ぐ増産。
 
この頃からタカノさんの量産品で折り畳み式のコウモリ傘(アイデアル)が、爆発的な人気、大増産で、
 
やってもやっても、作っても作っても、売れに売れ生産が追いつかない状況で、
 
そのタカノさんの応援ということで、弊社でもコイリングの巻き込みのみを2年ほどやらせてもらった。
 
材料の径がφ0.55、ばねの外径は3㎜弱、長さは60㎜ほどの大きさだったと記憶している。密着引張ばねだった。
 
 当時は、自動の線出し機はなかったので、手送りで材料出しをしていた。
 
ばねの内径が鉛筆の芯くらいで、(巻き込み用の芯金が)細くて折れやすく、超硬の芯をタカノさんから頂戴し、
 
それを基に自分で工夫し加工して、巻き込みをした。
 
 この頃『なんである、アイデアル』~『アイデアルはイヤデアル』が流行った。(植木等起用のCM)
 
 弊社のコイリングはセグメント式のもので、扇形ギヤーが能力不足だった。
 
別途、展開長が長く巻けるよう特別にあつらえたギヤーを使用して巻いていた。ナスコイリング105Cのことだ。
 
これは今も健在、使用可能だ。(2016年7月まで)
 
 そして、青年会に対してはどうするか。
 
仕事第一で考えたら「早く卒業して身を固める」べき、との結論に達した。
 
周りからは少し早いと言われるかもしれないが、結婚すれば否応なしに青年会は辞められると考え始めていた。
 
 さて、肝心の相手の女性は、と思案してみた。親には何も相談していない。
 
思いを巡らせている時、青年会員の中にいる女性ではどうかな?と考えた。
 
すると、もしかしてあの人はどうかと思える人が一人だけ思い浮かんだ。
 
「中村よう子」この女(ひと)だった。
 
 どうしたら良いのか、当たって砕けろの気持ちはあるが、迷いに迷った。かわいい。清純である。
 
素直で真面目で、その上、頭も良さそうだし、言うことなし。誰もがそう思っているに違いないと考えた。
 
 会長をやっている日頃は比較的遠くから見てきたが、今からでもアタックを試みることを密かに心に決め、
 
何とか男の競争の中に、自分も彼氏として立候補しようと本気で考えた。
 
でも、頭の良い娘だから単純な口車では無理だろう。
 
口下手な自分の気持ちを伝えるため詩に託そうと、気に入ったものを選び出した。それは、
 
『白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ』(若山牧水)
 
 この時の心がこれにピッタリだった。
 
そこから、他の人に先を越されないことを念じて、猛アタックを試みた。
 
秋になってドライブに蓼科、白樺高原に行った。私の車と、レンタカーを借りて皆で行った。
 
その後、少し遅い時季に上高地にも出かけたが、天候が悪くなり途中で引き返すことになった。
 
ひたすら楽しいことを次々やろうとし、本当に当時は楽しく過ごした。
 
 年の瀬には3区の公民館でクリスマスパーティーもした。千代本(有賀)のウクレレも記憶に残っている。
 
何でも良いので、と会員同士でプレゼントを交換し合った。
 
 とにかく、何とか彼女に気に入ってもらいたいと必死で、色々とやったのだった。
 
これで少しは脈が出て来たかと感じ始めたが、ただの独りよがりだったかもしれない。
 
 

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