要望書 産業廃棄物による村道汚染への対応について
2025.7.20
産業廃棄物による村道汚染への対応について(道路上の産廃の全量除去の要請)
私はこれまで、村道における産業廃棄物(以下「産廃」)による深刻な汚染問題について、
宮田村(以下、村)に繰り返し訴えてまいりました。
原因企業によって排出されている鉄粉・研磨くず・溶接くず等の産廃により、
村道の路面は錆びて赤く変色し、損傷・劣化が明らかに進行しております。
この状況は、村民全体の財産である村道に被害を及ぼし、
村の公益を著しく損ねるものであることは疑いようがありません。
ところが、村はこの事態に対し「支障はない」「法律に抵触していない」として、
実質的な対応を行っておられません。
しかし、以下の理由から、村としての対応義務があると考えます。
1.道路管理者としての法的責務について
村道の管理主体である村は、道路法第42条に基づき、道路の維持・修繕義務を負っており、
一般交通に支障を及ぼさないよう努める責務があります。
【道路法 第42条(道路の維持又は修繕)】
道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、
もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。
産廃が堆積・飛散している状態は、
道路の物理的安全性および環境的衛生状態を著しく損ねており、
「良好な状態」から逸脱しています。
道路管理者がこのような状態を放置することは、同条の趣旨に反します。
さらに、道路法第43条では、
【道路法 第43条(道路に関する禁止行為)】
何人も道路において、みだりに…(中略)…道路を損傷し、又は汚損してはならない。
現状は、原因企業が道路上に産廃を「排出し続けている」状態であり、
この禁止行為に該当する可能性が十分にあります。
2.廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく義務と行政措置の可能性
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)では、
事業者が自らの責任で廃棄物を適正に保管・収集・運搬・処分しなければならない、
との排出者責任が規定されています。
また、不法投棄は禁止されていることから、必要な措置を命ずることが可能です。
【廃掃法第3条の1】
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
【廃掃法 第19条の5】
都道府県知事等は、違法に廃棄物を投棄した者に対し、その撤去その他必要な措置を命ずることができる。
村が県や保健所などと連携し、原因企業に対して是正を求める法的根拠は明確です。
「強制力がない」という理由で対応を放棄するのは、行政の責務放棄に等しい行為であると考えます。
3.責任の所在と費用負担の不公平性
村が「お願いベース」の対応しかできないとする姿勢は、
本来、原因企業が負うべき産廃処理のコストを、
村が一部肩代わりしていることに等しいといえます。
それにより、完全に除去できず、路面に残留し続けている産廃の清掃費用は、
公費で賄われることになり、
さらに道路から飛散した産廃の処理費が、近隣企業や住民に押し付けられている、
という極めて不公平な負担の転嫁が生じています。
また、村の顧問弁護士からも、
「村は公益の損害を理由に、原因企業に対して法的措置を取ることが可能である」
との見解があると伺っております。
4.健康被害・環境リスクについて
鉄粉・研磨くず・溶接くずといった微細な粉じん・粒子が、
長期間にわたり飛散・堆積することで、
住民の呼吸器疾患など健康リスクを引き起こす可能性が高まっています。
大気汚染防止法や、労働安全衛生法(作業環境測定義務)に基づき、
一定以上の粉じん濃度が確認された場合、
企業や行政は対策を講じる必要があります。
これらの観点から、村道上の産廃の現状を看過することは、
環境汚染と健康被害の「未然防止義務」すら果たしていないとみなされかねません。
要望事項(結論)
以上を踏まえ、以下の通り正式に要望いたします。
■ 要望内容
1 村道上に堆積・飛散している産業廃棄物(鉄粉・研磨くず・溶接くず等)について、
道路管理者である村が責任を持って、速やかに全量を除去すること。
2 あわせて、原因企業に対して、県・保健所・環境関連部局等と連携のうえ、
適切な行政指導・法的措置を講じること。
本件は、公共財である村道の保全、住民の健康と安全、地域全体の環境衛生、
そして法令遵守という観点から、早急かつ適正な対応が求められます。
村の誠意あるご判断と、迅速な行動を強く要望いたします。
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